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食う世界と

ながーい休暇から、また日常へもどる。
マダガスカル・ナミビアへいって、みたこと、きいたこと、想ったこと、すっごくすっごくたくさんあるけど、とりあえず、今回の旅の友の一冊『もの食う人びと』について。

辺見庸さん著作『もの食う人びと』
時代・政治の流れに抗えず、それでも食って生きる世界中の人びとのルポタージュ。

「食」への意識が過剰なほど旺盛になっている私にとって、みつけたとたん手にとらずにはおえなかった本。旅で読もうと数週間あたためていた。

どこに行っても食を知れば、その国の文化・習慣・感性が見えるもの。
食べている人を見れば、この個の調子、心持ちが見えるもの。
だから、私は旅に出ると街をぶらぶらしながら、土地の食べ物を見て、市場を見て、屋台で食べ歩きするのが好きなのです。

そんなある意味軽い「旅情感」的なノリで、世界の食を知りたいって気持ちでこの本を開くと驚く。
どーんと私の腹にこぶしをくらった気分。
さすが辺見庸さん。
食を通じて、世の中の流れに翻弄される人、それでも生きる人をなまなましく描いている。
そのモノのにおい、味、音、食べる人の表情までもリアルに想像させる文章。
うわって目まいを感じながらも、ものすごく引き込まれた。

バングラディシュの歯型の残る残飯を売る屋台。
フィリピンで人を食べた元日本兵と自分も食べてしまったというフィリピン人。
ネスカフェにはまった先住民族。
日本の猫のエサ工場でそれより安いご飯を食べるタイの女の子。
ソマリアの飢えと病気。
チェルノブイリで汚染されたモノを食べるしかない人。
韓国の元従軍慰安婦の思い出の味。

そう引き込まれて、ふっとわれに返ると、
スナック菓子のばりばりという音
チョコレートの甘いにおい
大量に躊躇なく残される食事
キャンプトラックツアーの車内はまさに飽食。飽食。

ガラス一枚隔てたすぐそこは、アフリカの原野が広がっていて、
社会に流され、食べるしかない人がいるわけで。

辺見庸さんは、自分の胃袋で、舌で、しっかり味わい見てる。
そして、生々しく伝えてくれている。

それを伝えられた私はここでどうしたらいいんだろう。

一読の価値ありの本です。
by sachighana | 2008-07-29 20:03 | マダガスカル


見たい、知りたい、やってみたい! 気づいたらアフリカに。2年の滞在後、葉山で2年。次の舞台は京都。「健康のありかた」について、自然とともにある人々の行動に着目して研究しています。


by sachighana

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